修繕積立金の取り崩しで仕訳を間違える人が多い理由。法人・個人で扱いが変わる
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マンション投資をしていると、
毎月の管理費や修繕積立金は、もはや空気みたいな存在になる。
ただ黙って口座から引かれる。
明細を眺めても、特に気にしない。
けれど、ある日ふと、管理組合から届く書類の一行に目が止まる。
修繕積立金の取り崩しがありました
この一行で、会計処理が変わる。
税金も変わる。
利益計算も変わる。
そして、ここでつまずく人が異様に多い。
なぜか。
理由は単純そうで、実はとても深い。
法人と個人で扱いがまったく違うからだ。
そして、
修繕費なのか
資本的支出なのか
戻りなのか
ただの通知なのか
この境界線が曖昧すぎる。
ここでは、できるだけ実務の手触りを残したまま、
修繕積立金の取り崩しと仕訳の本質を書いていく。
取り崩し=現金が戻るという勘違い
まず、よくある誤解から。
取り崩し=返金だと思っている人が多い。
これ、本当に多い。
でも実際は違う。
取り崩しとは
修繕工事に使いました
という意味であって、
あなたの口座に戻るお金ではない。
むしろ
すでに手元から出ていったお金
の使い道が確定した、というだけの話。
ここを間違えると、仕訳は必ずブレる。
個人と法人で扱いが変わる理由
これは、税務の世界が
マンションの修繕積立金をどう見ているか
によって変わってくる。
ざっくりいえば、
個人(不動産所得)
修繕積立金は、支払った時点では経費にならない
取り崩し時に経費になる場合がある
法人(事業所得)
積立金の支払い時点でも、取り崩し時点でも扱いが変わる
資産計上と費用処理の境界が複雑になる
この違いが混乱を生む。
特に、個人は
積立金を払っているのに経費にならない
という特殊な世界にいる。
普通なら、出ていったお金は経費になりそうなものだ。
でも、修繕積立金は
まだ支出先が決まっていない預け金
という扱いになるため、費用化できない。
この言葉、聞いただけでちょっと面倒くさく感じる。
個人の場合の仕訳でつまずくポイント
結論だけ言えばこうなる。
・毎月支払う修繕積立金
→ 資産計上(預け金扱い)で費用にはできない
・取り崩して修繕工事に使われた部分
→ 修繕費として経費になる場合がある
※資本的支出(価値が上がる工事)の場合は減価償却になる
つまり、
取り崩し=修繕費になる
という単純な話ではない。
ここで迷子になる個人投資家が多い。
修繕工事の内容が
維持のための修繕なのか
価値を上げる工事なのか
で処理が変わるからだ。
-
・壁紙の張り替え
・破損した設備の修理
・水漏れ修繕
などは修繕費になりやすい。
でも
-
・給排水管の交換
・エレベーター更新
・防犯カメラ新設
などは資本的支出(資産)になる。
この境界線が、主観によって揺れる。
税務署によって扱いが違うことさえある。
個人投資家が迷うのは当然だ。
法人の場合の仕訳はさらに複雑
法人会計では
預け金
未収入金
長期前払費用
修繕引当金
など、選択肢がいくつもある。
特に、修繕積立金の支払いを
費用として処理するのか
資産として処理するのか
は、法人の会計方針で変わる。
そして問題はここだ。
法人は、
修繕積立金を支払ったタイミング
取り崩されたタイミング
実際に工事が行われたタイミング
の3つが別々になる。
これが誤仕訳の温床になる。
さらに、工事の中身によって
修繕費(即費用)
資本的支出(資産計上)
に分かれるから、法人は難易度が一段上がる。
税理士でも間違えることがある。
仕訳が狂うと何が起きるのか
ここが地味に怖い。
誤仕訳は
利益計算
税額
原価
キャッシュフロー
すべてに影響する。
特に危ないのは
-
・本来費用なのに資産計上してしまった
・本来資産なのに費用化してしまった
この2つ。
決算が歪む。
税金が変わる。
銀行評価も変わる。
取り崩しの処理が間違っているだけで、
不動産投資の計画自体がズレてくる。
私は、自分のキャッシュフロー表が狂った時のあの薄い酔いのような感覚を忘れられない。
数字が急に信用できなくなるのだ。
取り崩し通知は、ただの紙じゃない。未来の影響が刻まれている
管理組合から届く取り崩し通知。
多くの人は、ただの報告書だと思っている。
でも実際は違う。
あれは
未来の税額と利益とキャッシュフローに影響する紙だ。
つまり、取り崩しとは
会計処理のトリガー
だと言える。
法人でも個人でも、取り崩し通知の内容を
どう仕訳に落とすか
で運用成績が全く変わる。
ここでいったん息を整える。固定費と資産の話に触れる
修繕積立金も、工事費も、税金も、
じわじわと上がる。
これは止められない。
でも、自分の側の資産は育てられる。
私はこの矛盾を感じたとき、はじめて
資産側の成長で固定費の重さを打ち消す
という考え方を持った。
特に、S&P500が長期で
年7〜10%の成長
を続けてきたデータを見たとき、
修繕費の上昇より強い速度を持つ柱を一つ持つ
という意味に気づいた。
取り崩しが気になるなら、
未来の取り崩しに備えて資産を育てる
という考え方もある。
取り崩しと仕訳の正解はひとつではない。でも判断軸はある
最後に、個人でも法人でも使える判断軸を置いておく。
-
・取り崩し通知の内訳を細かく見る
・工事の内容が修繕なのか資本的支出なのか判断する
・領収書と通知の金額を照合する
・法人なら会計方針を統一する
・個人なら修繕費と資本的支出の境界を意識する
・税理士に丸投げしない(ここ重要)
修繕積立金の取り崩しは、
扱いを間違えると損する構造になっている。
正しく理解して、正しく処理する。
地味だけれど、
不動産投資では一番の武器になる。
おわりに
修繕積立金の取り崩しは、ただの通知ではない。
法人・個人で扱いが変わり、
修繕費か資本的支出かでも扱いが変わる。
つまり、
仕訳は単純ではない
ということだ。
ただ、複雑な現実を前にしても、
唯一できることがある。
未来の固定費上昇を恐れるだけでなく、
未来の資産を育てていくこと。
数字に振り回されないための、静かな防衛策として。
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